海部郡立田の住宅

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  • 竣工:1997年5月
  • 建設地:愛知県立田町
  • 規模:地下1階+地上2階
  • 構造:木造一部鉄筋コンクリート造
  • 敷地面積:498.82㎡(約151坪)
  • 建築面積:222.36㎡(約67坪)
  • 延床面積:325.02㎡(約98坪)
  • 施工:松田建設
  • 家族構成:夫婦+子供3人
  • 設備:OMソーラーシステム
  • 設計:野沢正光建築工房
  • 掲載紙:「住宅特集」1998年8月号(新建築社)
主旨
愛知県海部郡立田村は名古屋市の西,木曽三川のデルタ地帯にある.この住宅はその平坦な田園の中に建つ.
数年前,設計の依頼を受け,種々の打合せを重ねた.その中で建主から,「愛知県東部に山林を所有し,ひょっとするとそこからの材木の供給が可能であるかもしれぬ.私の父親が以前購入したものでその実態は把握していないのだが」という話が出た.そのことの確認から,この計画は実質を伴うものとしてスタートしたといってよい.山林は奥三河の南設楽郡作手村にあった.ヒノキが6割,スギ4割,樹齢60~70年の山で材積も十分であるというのが材木屋の見立てであった.打合せを重ね,自前の山の立木は伐採,葉括らし,乾燥を経,われわれの設定したサイズの用材となって,加工のため大工のもとへ搬送されることとなった.結果,比較的大断面の無垢材によって架構を考えることのできる僥倖がわれわれのものとなり,それがここでの試みの根拠となった.
架構は柱梁を方杖状の部材で固着したスパン5.4mの門型のもの,それを1.2mピッチごとに連ねる.柱材はすべてヒノキの通し柱で120×210mm,梁はスギ材で2階床梁は120×270mm,登り梁は120×240mmの断面をもつ.北側の主屋棟と南側の予備室棟を縦につなぐ鉄筋コンクリート造の筒状の部分が横力の吸収に役立つ構造計画となっているが,もちろんキッチン,浴室など火や水を使用する部位の配置と関連しての選択によっている.また,地下室の設置が地上階での一部鉄筋コンクリート造の選択を容易にした.
外皮は架構の外側で断熱・気密施工を行った.
いわゆる外断熱工法である.開口部は2重ガラス入り木製気密サッシュである.そのさらに外皮に外付けのルーバーブラインドがつき,外断熱の外壁の性能に対応した仕様とした.
例によってこの建物も「外気取入屋根集熱型暖房換気システム」を導入しているが,建主からの希望によるものでもある.主屋と離れを別々の系統とし,主屋棟では一般的な方式に少々手を加えている.屋根の南面のみを冬の集熱や夏の夜間放射冷却の対象範囲とするのが通常の方式だが,ここでは2本の棟ダクトを設けることにより,北側の屋根も積極的に利用することを試みている.夏の日中,屋根面の熱くなった空気の排気を北面でも行い,日没後短時間に棟ダクト内の温度を下げ,夜間の放射冷却・冷風取入れ運転に早く移行することを目指したものである.またほかにも,太陽光発電,合併浄化槽の自主的な導入など,建主の提案にもよりいくつもの環境共生技術を試みている. 
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