南伊豆の住宅2

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  • 竣工:1990年7月建設地:静岡県賀茂郡
  • 規模:2階
  • 構造:木造
  • 敷地面積:532.34㎡
  • 建築面積:113.82㎡
  • 延床面積:146.05㎡
  • 施工:清水建築
  • 設備:ソーラー空気集熱・常用自家発電・無人搬送車・コジェネレーションシステム
  • 設計:野沢正光建築工房
主旨
伊豆半島の先端に近い小さな集落の奥にこの住宅を含む三つの家が建っている.あとの二つの内一つは,この家の主人の仕事場であり,もう一つは親戚のための週末住宅である.
ここには,陶芸家である彼自身によって自ら作られた住宅が建っていた.そしてそれは,こわすにしのびない,良い佇まいの住宅であったのだが,いわばしろうとの工事の故かおとろえがいちぢるしく,建て替えのやむなきに至った.そして彼の友人である僕に、その仕事がまわってくることとなった.計画は二転三転し,この夏の竣工にこぎつけたのだが、以前の住宅を約45度南にむけて回転させたごとくに見えるよう,正面をごく素直なフアサードとすることは以前の住宅を良く知っていることからのそれへのオマージュであったろうし,その結果,北面がそれに反し,ごく自由を形態となったのはそれへの反発であったのかもしれない.仕事場が従来から黒と銀色で仕上げられたものであったことや、彼の仕事にそんな調子のものが多くあることなどにも影響され,住宅の集熱側のブロックは黒.非集熱側ブロックは反射しやすい銀との塗り分けとなったが,これによりこの住宅そのものが彼の仕事とごく近似したものにみえることとなった.
南側は開口部,曲面となっている北側は壁という大きな構成は.ダイレクトゲインタイプのパッシブソーラーハウスの原型の踏襲であり,屋根集熱型であってもこのタイプの「函」がもっとも有効なはずであると考えての採用であるが,今年が少々異常だったとはいえ,通風だけをたよりとしてすごす夏には大分無理があったようで,特に屋根集熱つまり夏期の排気していない北面の"屋根集熱"が小屋裏を"暖める"ことに対する強力な対策をせまられている.1階の床が段差をもっているためハンドリングボックスの下部にチャンバーを設け,その先を2系統のダクトにして床下に導いていることや,ハンドリングボックスの騒音対策のため、これをボルトにより吊っていること、ランバーコア直張りの床の端部をスリット状の吹出し口として、そこにエキスパンドメタルを折り曲げた金物をカバーとして設けていることなどが、OMソーラーシステムに関係する部分での工夫である.
二重貼りの障子や,包装紙による璧紙など,この家の主人の考えを反映したもの,洗面器,金物など壊した家からもちかえったもの,また直接の現場監理は彼によってほとんど行われたことなどにより,この住宅は,僕とこの家の主人による楽しい共作として竣工したが,この「函」が今後彼ら夫婦によって,いかにしつらえられるかという,僕にとっての最大の楽しみを今待っているところである.
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