小金井中町の家

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  • 竣工:2005年3月
  • 建設地:東京都小金井市
  • 規模:地上2階
  • 構造:コンクリートブロック組積造+木造
  • 敷地面積:369.74㎡(約112坪)
  • 建築面積:114.36 ㎡(約35坪)
  • 延床面積:111.37㎡(約34坪)
  • 施工:円建設
  • 家族構成:夫婦
  • 設備:OMソーラーシステム
  • 設計:野沢正光建築工房
  • 構造:山辺構造設計事務所
  • 設備:池田設備工業
主旨
野川は国分寺崖線に沿い流れる.武蔵野台地はこの崖線に沿って多摩川の流域地帯に下る.そこに小金井,貫井などの地名が示す地下水の湧き出る豊かな農業適地が広がる.敷地はその緑に恵まれた斜面地である.こんなに豊かな自然はもうこうした斜面のほんの一部にしか残されていない.既存の住宅が経年によりさまざまな課題を抱え新たに建て替えることになった.
恵まれた敷地であることから計画は敷地の性状を極力専重したものとし,残された擁壁,基礎はほぼそのままとした.極力段差のないプランとするため,斜面上部に基礎部分を置き,張り出した床版の先端で軸力をポストで支持し,その上に木造架構を組むかたちをとっている.木造の架構は南に比較的大きい庇をつくり北側に積まれた補強コンクリートブロック造の上,サポートとして設けた鉄のフレームに載る.コンクリートブロック造のキッチン,風呂などの部分を北側に配したが,北側隣接の擁壁との関係,ある程度の蓄熱量のあるシェルターとする意図による.ブロックは二重積みとし中間の空気層内側で断熱した.木造部分の室内は比較的大きな一室空間であって,クローゼットの箱が寝室部とその他を区画するのみである.建具が箱から出て視覚的に閉じることができる工夫をした.
ポストの並ぶピロティ状の床下部分,既存擁壁に沿うかたちで増築のように小屋がある.上階より床を上げここに下ることができるが,別途入口もあり幾分独立的な場所となっていて,ここは御主人の工房である.外部には庇をかけて外での作業もでき,ピロティ下の部分を含め多彩な趣味の場となってくるはずと期待している.もちろん庭仕事の拠点にもなるだろう.
例によって屋根集熱式換気暖房のシステムを搭載しているが,冬季,密生する巨樹は落葉し屋根にはさんさんと太陽が降る.蓄熱を考慮しブロック部を設けたことと関連する.落葉の対策に雨樋を庇先より内側に設け,清掃時の危険を低減する工夫もした.
この計画を進めながら,もちろん効率と安全が至上のこととはいえ,巨費を投じてどこでも当たり前のように行われる一律の宅地造成という手法が,いかに豊かな景観を台なしにしてきたかと思う.目の前のモミジ,イチョウの巨樹の新緑を愛でながら,工事中に見たこれら木々の紅葉の素晴らしさ,富士を枝間に望む冬の景観を思い出した.
   
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