いわむらかずお絵本の丘美術館 アトリエ

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  • 竣工:2003年5月
  • 建設地:栃木県那須郡馬頭町
  • 規模:平屋
  • 構造:木造
  • 敷地面積:1,198.00㎡(約363坪)
  • 建築面積:180.90 ㎡(約55坪)
  • 延床面積:162.30㎡(約49坪)
  • 施工:深谷建設
  • 設備:OMソーラーシステム
  • 設計:野沢正光建築工房
  • 構造:稲山建築設計事務所
  • 掲載紙:『住宅特集』2004年7月号(建築資料研究社)『ディテール』160 2004年4月号(彰国社)『建築知識』2007年2月号(エクスナレッジ)
主旨
美術館の建設から数年を経ず、いわむらさんはこの丘をフィールドにした新しい物語の構想を持ち創作を始められた。
絵本の丘は美術館での原画など創作過程を含めた企画展示を本旨とするが、このほか多彩な絵本作家、写真家とのコラボレーション、研究者、音楽家、ひいては落語家などのパフォーマンスなどが随時催され多くの来場者の支持を得ている。周辺の草地ではかやねずみ、野うさぎなど多彩など小動物が生息し来訪者が身近にそれらに触れることも珍しくない。草地、雑木林、農園、田んぼなど里山の多彩な環境はここを訪れる人々のもうひとつの主要なフィールドとなっているが、ここでも一年を通し多彩なイベントが行われている。
いわむらさんの創作は以前からこうした自然環境の綿密な取材の基づいたものであった。このフィールドを新たに物語の舞台とする、そのためにここでの深夜早朝にわたる自然観察が可能な「滞在のための家」が作られることとなったのである。
木材は今回も美術館と同様、八溝の杉である。大工も前回同様薄井君である。と、なると私たちも同様のメンバーで大工の腕や材料の質を頭に置き考えることとなる。丸太のままの利用、屋根のかたち、架構の工夫、などはそうしたなかから出たものである。
ここでの急勾配屋根はもうひとつ空気集熱式ソーラーハウスの夏季の温度上昇を適正なレベルに抑えることをもくろんだものでもあるのだが、架構はアトリエ内部の比較的大きな気積と居住棟の細長い室の連続の二つを違和感無く作ること、急勾配の天井面と緩勾配の軒庇部分の構成を説明可能なものとすることを目論んだものである。結果今日の木工造がいかに大工の手間の削減されたものとしてあるのかを痛感した。丸太材の使用はこれほどであっても大きく手間を押し上げる。しかし私たちの大工への挑発に彼らはニコニコしながら乗ってくる。日本の大工の作りうる木造がいかにポテンシャルを秘めたものであるかを知らされるのである。
おなじみの太陽熱集熱換気システムだが今回は屋根面が良く見える勾配であることから初めてポリカーボネート版をポイントで固定することを試みた。また建物形状が線形の住棟と半ば独立するアトリエ棟とに分かれていることから集熱空気を三本のダクトで分配した。またアトリエの室内環境を考慮し乾燥を防ぐ加湿システムをそれに装置に付属させ暖房時の湿度低下に対応している。冬を経過し室内環境は良好に推移している。
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