阿品土谷病院

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  • 竣工:1987年8月
  • 建設地:広島県廿日市町
  • 規模:地下1階+地上3階
  • 構造:鉄筋コンクリート造
  • 敷地面積:13,411.40㎡(約4,064坪)
  • 建築面積:3,986.90㎡(約1,208坪)
  • 延床面積:10,568.22㎡(約3,202坪)
  • 施工:フジタ工業
  • 設備:ソーラー空気集熱・常用自家発電・無人搬送車・コジェネレーションシステム
  • 設計:木曽三岳奥村設計所+野沢正光建築工房
  • 受賞:第一回病院建築賞など
  • 掲載紙:「新建築」1988年2月号(新建築社)
主旨
パッシプなシステムとアクティブなシステムが相互に乗り入れることによる安定した室温と,清浄な空気による室内気候を実現することと,海を望む広い視野の確保という心理的な充足を得ることが,この病院の病室計画の起点であった.
 病院のほぼ東南,南西に向いたL字型部分が病室として用意され,そのおのおのは東または西の日射をさえぎり,南の視野を強調する形状のバッファーとしてのサンルームを付してある.東・西端部の妻側壁は,サイディングをその外部に,よろいのように浮かせて貼り,隅の部屋の東日,西日によるオーバーヒートを防ぎ,屋根部もコンクリートスラブの上に「置屋根」を置き,同様の処置をほどこしている.
 このような,いわば「外皮」への計画上の配慮の上,前述の置屋根は「空気収熱型換気システム」とでもいうべきごくパッシプな,しかも慎重でデリケートなコントロールが保証されたシステムとして,建物の他の部位と一体に計画した.
概説すると,屋根先端より導入される外気は,屋根下の空気層に導かれ加熱される.そして屋根最上部のガラスにより保温されたゾーンでさらに加熱され ダクト内に導かれる.夏季はこの勲は当然外部に排出され,室内の負荷となるのを防ぎ,冬季は室内に導入される.屋根裏に設けられたプレヒータークーラーとしての空調機により温度調整された空気は(残余はPCM=潜熱蓄熱材にためこまれ,太陽が沈んだ後その効果を発揮する)さらに各病室の浮床下に導入され,窓側ファンコイルユニットにより再び各室ごとのコントロールをされた上,室内に導かれるのである.
 この「外皮」の配慮と「システム」の配慮とにより,病室の温度分布と室内空気の清浄度は,ともに過去の測定事例を大幅に上回る水準を示しており,タダのエネルギーによる大量の換気の保証がいかに室内の清浄化に有効であるかをも示している.
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